「靴のロールスロイス」 RIO CORDOVAN
1879年の創業以来、約30名の一流マイスターが1足1足、実に300の工程を経て作り上げるHeinrich Dinkelacker(ハインリッヒディンケラッカー)。
その全ての工程がハンガリーのブタペストで、手作業によるオールハンドメイド。
年間に生産できるのは、わずか8,000足。
つまり、世界でHeinrich Dinkelackerの靴を手にできるのは、年間8,000人ということなのです。
とはいえ、貴重な靴=良い靴とは限りません。
僕が思うHeinrich Dinkelackerの素晴らしさは繊細な技術が生み出す美しさと、
最高峰の素材を使用し、全行程ハンドメイドで製作されることによる抜群の歩きやすさ。
このRIO(リオ)は、誕生から60年以上が経過した今もブランドのアイコンとして君臨する不動の人気モデル。
こちらはホーウィン・レザー社のシェルコードバンを使用したモデル。
シェルコードバンと言えば、言わずと知れた世界で最も有名なタンナーが生み出す「革のダイヤモンド」。
さらに、Heinrich Dinkelackerで使用しているのは、その中でも最高峰のもの。
通常のコードバンが表面のみに艶を出す鏡面仕上げを採用しているのに対し、
あえて鏡面仕上げではなく、自然仕上げにすることで革そのものの艶を表現しているんです。
これはもう、実際に目にすれば一目瞭然でその美しさが伝わるはず。
アッパーを成型するのも2日間かけて職人が木型に合わせていき、成型が完成するまでに数日を必要とする。
これにより、とても型崩れしにくいアッパーが完成します。
僕の場合は、2年ほどかなりの頻度で履いていますが、他の革靴と比べても型くずれは非常に少ないのは間違いないと感じています。
そして、このRIOを語る上で外せないのがソール。
これだけ見た目に美しくありながら、なんとソールの厚みは1.5cmとかなり厚め。
クッション性の高いコルクにレザーを重ね、2層めまでを丈夫な靴を生み出すハンドソーンウェルト製法で職人が1針1針仕上げたもの。
このソールが生み出す履き心地が、もう、たまらないんです!
しっかりとした厚みのソールは、自然と足に合わせて沈みこみ、柔らかい。
「絨毯の上を歩いている様な履き心地」と評されるほど、革靴の常識を覆す逸品なのです。
僕自身も、試着の段階ですぐに違いを実感し、欲しくて欲しくてたまらなくなってしまった1番の理由は、
この履き心地によるものでした。
また、3層めはセメント接着された上につま先に摩擦を防ぐメタルプレートを配置。
ソールが剥がれにくいので、そのままでも長く楽しめます!
アウトソールには、ドイツのタンナー・ジョーレンデンバッハ社(通称JR社)のオークバーグレザーを使用。
このアウトソール、「1年もの歳月をかけて作り上げる靴底最高部材」と呼ばれていて、
耐久性、耐水性、通気性に優れているのが特徴です。
もちろん、通常のレザーソールと比べると耐久性が高いのですり減りにくいのですが、
すり減ってきた場合もソールの張替えができます。
靴底には6本の化粧釘が合計11か所に施されているのですが、これがまたにくい!
通常であれば、単なる補強として表に出されないものをデザインとして昇華させているんです。
とても長くなってしまったのですが、正直、まだまだ語り足りないほど、
Heinrich Dinkelackerには最高の靴を追求した結果が詰まっています。
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