
昔の野球帽って、なんであんなに良かったんだろう
夏のグラウンド。
熱を持った空気と汗ばんだメッシュ素材、額に当たる白い芯地。
ふざけてツバを曲げていたあの頃の風景。
それは、記憶の底に沈んだ風合いかもしれない。
POTENの帽子は、そんな”昔の野球帽”の記憶を、現代に引き戻してくれる。
帽子をつくるブランドは多い。
けれど「野球帽だけをつくるブランド」は、ほとんど存在しない。
2016年にスタートしたPOTENは、岡山の野球帽専門工場とともに、プロ選手用と同じ製法で帽子を仕立て続けている。
そして今回、そのPOTENにMOONLOIDが別注を依頼。
本物の構造と都市の感性を重ねた、唯一無二のキャップが完成した。
“13本のステッチ”が、語ること。
ベースとなっているのは、デザイナー井口氏が運営するセレクトショップ「TAMANIWA」で展開されているPATCH CAP。
その象徴とも言えるのが、ツバに走る13本のバイザーステッチだ。

一般的な帽子では6~8本程度が主流だが、これはヴィンテージのプロ仕様を継承したもの。
耐久性はもちろん、帽子全体の表情を整える意匠としての機能も持っている。
そして、このディテールが実現できる職人や設備は、今やほとんど残っていない。
夏にメッシュを選ぶ理由が、変わった。


クラウン前部はナイロンニット、後部は通気性抜群のメッシュ。
いわゆる“昔ながらの野球帽”の構造だが、シルエットはアップデートされていて、深めのクラウンにやや短めのツバ。
どんな顔立ちにも似合いやすく、スタイリングにも自然に馴染む。


「メッシュキャップって、なんとなくダサい」
そう思っていた人にこそ被ってほしい。
これは、そうした先入観を軽やかに裏切る一本だ。
本物の構造とモダンな視点が両立した、“涼しいだけじゃない”夏の定番。
ロゴも、構造も、すべてに意味がある。


フロントには、MOONLOIDのシグネチャーを大胆に配置。
ティファニーブルー × ブラック、エルメスオレンジ × ネイビーというカラーも印象的。
けれど、このロゴが成立するのは、土台が“本物の野球帽”だからにほかならない。
そして、細部にも注目してほしい。
たとえば、帽子の形を保つための「前立メッシュ(芯材)」。
白いメッシュが額の裏側にしっかりと入り、ロゴが寝てしまわないようフロントをしっかり立ち上げる。
見えない部分にこそ、野球帽としての設計思想が息づいている。

また、後頭部のアジャスターベルトには「MOONLOID」の刺繍入り。
TAMANIWAのデザインフォントを使ったキャッチーなロゴが、さりげない主張として効いてくる。

そしてクラウン内側には、プロ仕様と同じようにネームタグが装備されている。
名前を書き込めば、まさに“自分の帽子”としての愛着が湧いてくる。
シェアユースにも適した、静かな気遣い。

これは「日用品」への、静かな再解釈。
POTENのクラフトマンシップと、MOONLOIDの審美眼。
そこに、TAMANIWAが持つ“野球への情熱”が交差することで生まれたこのキャップは、
単なる別注品ではなく、帽子という日用品をもう一度見直すきっかけになるはずだ。




たとえば、朝の陽ざしが眩しい日。
あるいは、何を着てもいまひとつ気分が乗らないとき。
このキャップは、さりげなく、でも確かな存在感で応えてくれる。

POTEN / MOONLOID CAP
color: BLK,NAVY
¥8,800
fujimori
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